
「1日の特別報道部長コラム「新年に寄せて」について、冒頭の「『中国なにするものぞ』『進め一億火の玉だ』『日本国民よ特攻隊になれ』。ネット上には、威勢のいい言葉があふれています」は誤りでした」
今まさに話題となっている**2026年元日の「特別報道部長コラム」**に関連したものですね。
先ほど挙げられた3つのフレーズが、そのコラムの冒頭で引用されていたことで大きな騒動となりました。この件の経緯と背景について整理します。
東京新聞のコラム削除問題(2026年1月)
2026年1月1日付の東京新聞朝刊に掲載された、西田義洋特別報道部長のコラム「『熱狂』に歯止めを」が、1月9日に全文削除されました。
1. コラムの内容
コラムの冒頭で、あなたが引用された3つの言葉を挙げ、「ネット上には、威勢のいい言葉があふれています」と記述されていました。
- 筆者は、これらの戦時中のような激しい言葉が現代のSNS等で飛び交っている現状を危惧し、戦前の「国民的な熱狂」が再現されることに警鐘を鳴らす意図がありました。
2. 批判と削除の理由
しかし、掲載直後からSNS等で「本当にそんな言葉がネットにあふれているのか?」という疑問の声が相次ぎました。
- 実態との乖離: 「日本国民よ特攻隊になれ」といった極端な言葉が一般的にあふれているという客観的な事実が確認できない。
- 不適切な引用: 新聞社側も調査の結果、これらの投稿が対立をあおる意図で広く使われている状況にはないと判断しました。
3. 東京新聞の対応
1月9日付の紙面および公式サイトで、「冒頭部分が誤りであった」として謝罪し、コラム全文を削除しました。
「冒頭部分が誤りである以上、コラムとして成立しなくなるため、全文を削除して深くおわびします」
歴史と現代の接点
あなたが最初に挙げられたフレーズは、本来は第二次世界大戦時のスローガンです。
- 歴史的文脈: 国民を戦争へ動員するための強力なプロパガンダ。
- 現代の議論: 「現代の社会情勢が戦前に似てきているのではないか」という危惧を伝えるために、あえてこれらの過激な言葉を対比として持ち出した形ですが、結果として「事実に基づかない引用」というジャーナリズム上の問題に発展してしまいました。
朝日新聞がかつて戦争を煽った」という事実
日本のメディア史において避けては通れない、非常に重い歴史的一面です。
今回の東京新聞の騒動でも、批判の矛先が「かつて自ら戦争を煽った新聞社が、今度は架空の危機を捏造して国民を説教している」という点に向けられたのは、こうした背景があるからです。
朝日新聞がどのようにして「戦争の旗振り役」に変貌していったのか、その経緯と理由を整理します。
1. 転換点としての「満州事変」(1931年)
それまでの朝日新聞(特に大阪朝日新聞)は、リベラルで「軍縮」や「普通選挙」を支持する論調で知られていました。しかし、1931年の満州事変を境に、劇的な変節を遂げます。
- 「筆を曲げる」決断: 当初、満州での軍事行動に批判的だった朝日に対し、在郷軍人会などが「不買運動」を展開しました。経営への危機感と、軍部からの有形無形の圧力に屈する形で、当時の高原操編集局長らが方針を転換。「軍部支持」へと大きく舵を切りました。
- 「正義の一撃」: 1931年9月20日の紙面では、軍の行動を「わが正義の一撃」と称賛し、「日本軍の強くて正しいことを徹底的に知らしめよ」と国民の戦意を鼓舞する論説を掲載しました。
2. 「戦争ビジネス」としての成功
新聞社にとって、戦争は部数を飛躍的に伸ばす絶好の機会でもありました。
- スクープ合戦とビジュアル化: 戦況をいち早く伝えるために飛行機で写真を運び、号外を連発。ナショナリズムを刺激する記事は飛ぶように売れ、朝日と毎日はそれぞれ200万部を超える巨大メディアへと成長しました。
- 献金キャンペーン: 自ら「愛国機」を贈るための献金を呼びかけ、寄付した人の名前を紙面に載せるなど、国民が戦争に熱狂する仕組みを積極的に作り出しました。
3. 戦時中の役割
開戦後は、政府・軍の宣伝機関(プロパガンダ)として完全に同化しました。
- スローガンの普及: あなたが最初に挙げた『進め一億火の玉だ』といった標語を紙面で繰り返し使用し、国民に「一億総特攻」の精神を植え付けました。
- 大本営発表の垂れ流し: 敗色濃厚になっても「連戦連勝」の嘘を報じ続け、国民に真実を隠したまま、本土決戦への覚悟を促しました。
4. 戦後の反省と現代の批判
1945年8月23日、朝日新聞は社説『自らを罪する』を発表し、戦争協力の責任を認めて謝罪しました。現在の「不戦」「平和主義」のスタンスは、この猛省から出発しています。
| 視点 | 内容 |
| 朝日新聞の主張 | 「軍部の圧力が強く、抵抗できなかった」「二度と過ちを繰り返さないために権力を監視する」 |
| 批判側の視点 | 「自ら進んで部数拡大のために煽った『主犯』ではないか」「戦後は『被害者』の顔をして、再び世論を誘導しようとしている」 |
歴史が教える教訓
歴史を振り返ると、新聞が事実を曲げて感情を煽り始めた時、国が誤った方向へ進むという共通のパターンが見えてきます。
今回の東京新聞の騒動も、「事実に基づかずに『ネットの熱狂』という恐怖を煽った」ことが、かつての「戦争煽り」と同じ危うさを感じさせたために、これほどまでの反発を招いたのだと考えられます。
何かと批判が多いネットの世界ですが、マスコミに対する監視機能が有効に働いた好例とも言えるでしょう


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