
年金を増やすための基本ポイント
1. 年金の種類と仕組み
- 日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2つがあります。
- 国民年金:20歳から60歳未満のすべての人が加入する基礎年金。
- 厚生年金:会社員や公務員が加入する年金。報酬や加入期間によって受け取る額が増えます。
2. 支給額の計算方法
国民年金は「78万1,700円 × 加入月数 ÷ 480」で計算されます。
厚生年金は、給料や加入期間によって計算され、長く働くほど受給額が増えます。
3. 満額受給の条件
国民年金は40年間(480ヶ月)保険料を納めると満額受給できます。
未納期間があると受給額が減るので、納付状況を確認し、未納分はできるだけ早く支払いましょう(追納は10年以内の分のみ可能)。
4. 60歳以降の任意加入
60歳以降でも条件を満たせば国民年金に任意加入できます。
受給資格が足りない場合や満額を目指したい場合に有効です。
年金額アップを狙う6つの制度
- 年金生活者支援給付金
低所得者向けに年金に上乗せして支給される制度。申請が必要です。 - 付加保険料制度
国民年金加入者が毎月400円追加で納めると、将来の年金が「200円×納付月数」増えます。 - 在職定時改定
働きながら厚生年金を受給すると、毎年10月に年金額が増えます。 - iDeCo(個人型確定拠出年金)
自分で積み立てて運用し、税金の優遇も受けられる私的年金制度。 - 繰り下げ受給
年金の受給開始を遅らせると、1ヶ月ごとに0.7%ずつ受給額が増え、最大42%増やせます。 - 資産運用やNISAの活用
年金だけでなく、株式や投資信託、NISAなどで資産を増やすことも大切です。
付加保険料制度とは?
付加保険料制度は、国民年金に加入している自営業者やフリーランス、専業主婦(第1号被保険者)、または任意加入者が利用できる制度です。
毎月400円の「付加保険料」を通常の国民年金保険料に上乗せして納めることで、将来受け取る年金額が増える仕組みです。
どれくらい年金が増えるの?
付加保険料を納めた月数 × 200円分が、毎年の年金額に上乗せされます。
例えば、10年間(120ヶ月)付加保険料を納めると、
200円 × 120ヶ月 = 年間24,000円が増えます。
この増額分は、一生涯受け取ることができます。
メリット
少額(月400円)で将来の年金額を確実に増やせる。
長生きするほど、支払った保険料以上の年金を受け取れる可能性が高い。
特に自営業やフリーランスの方におすすめです。
注意点
会社員や公務員(第2号被保険者)、その配偶者(第3号被保険者)は利用できません。
付加保険料は、国民年金の保険料と一緒に納めます。
65歳から年金受給が始まりますが、受給開始から2年以上生きれば、支払った付加保険料の元が取れる計算です。
途中で亡くなった場合や、受給開始から2年以内に亡くなった場合は、元が取れないこともあります。
手続き方法
- 市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所で申請できます。
- 任意加入者も利用可能です。
まとめ
付加保険料制度は、月400円の追加で将来の年金額を増やせる、とても効率の良い制度です。
「少しでも年金を増やしたい」「老後の安心を増やしたい」という方は、ぜひ検討してみてください。
繰り下げ受給の計算方法
基本の仕組み
年金は通常65歳から受け取れますが、受給開始を遅らせる(繰り下げる)ことで、毎月0.7%ずつ受給額が増えます。
1年遅らせると8.4%、5年遅らせると最大42%増額されます。
受給開始は最大75歳まで遅らせることができ、10年遅らせると84%増額されます。
具体的な計算
例1:65歳時点の年金額が月20万円の場合
- 70歳から受給(5年繰り下げ)
- 増額率:42%
- 計算式:20万円 × 1.42 = 28万4,000円
- → 70歳からは月額28万4,000円の年金が受け取れます。
- 68歳から受給(3年繰り下げ)
- 増額率:25.2%
- 計算式:20万円 × 1.252 = 25万400円
- → 68歳からは月額25万400円の年金が受け取れます。
- 75歳から受給(10年繰り下げ)
- 増額率:84%
- 計算式:20万円 × 1.84 = 36万8,000円
- → 75歳からは月額36万8,000円の年金が受け取れます。
例2:年額で計算する場合(65歳時点で年額81万6,000円の場合)
- 68歳から受給(3年繰り下げ)
- 増額率:25.2%
- 増額分:81万6,000円 × 0.252 = 約20万5,632円
- 受給額:81万6,000円 + 20万5,632円 = 約102万1,632円(年額)
計算式まとめ
増額後の年金額 = 65歳時点の年金額 ×(1+0.007×繰り下げ月数)
1年=12ヶ月なので、1年繰り下げは0.007×12=8.4%増
注意点
繰り下げ期間中は年金を受け取れません。
一度繰り下げ申請すると、後から変更できません。
長生きするほど繰り下げのメリットが大きくなりますが、受給開始前に亡くなった場合は受け取れません。
詳しいシミュレーションは、年金繰り下げ受給額自動計算サイト も参考になります。
相談窓口・専門家の活用
年金事務所や市区町村の窓口で相談できます。
ファイナンシャルプランナー(FP)や社会保険労務士に相談すると、より詳しいアドバイスがもらえます。
注意点
制度や手続きは変更されることがあるので、最新情報は公的機関のホームページや相談窓口で確認しましょう。
民間の情報は正確性に注意し、必ず公的な情報源も参考にしてください。

コメント