今日は私の所有している「タフブック」のお話です。
基本的にこの機種は業務用なので一般販売は無く、法人専用です。しかも様々なオプションが用意され日本の現場を支えています。残念なことに、日本国内では情報も乏しいPCで余りお目にかからない品物ですが、海外では愛好家が多く、YouTubeの動画もほとんど海外のユーザーです。カスタムも可能で、受注生産とまでは言わないまでも、発注オプション込みで納品されます。
CE-20E
CE-20は、2016年3月発売のA世代「CF-20A5193KJ」から2020年5月発売のE世代「CF-20E0193VJ」まで、結構長い期間販売されていました。
所有期は末期モデルで、仕様はWindows 10 Pro 64ビット/インテル® Core™ i5-7Y57 プロセッサー(インテル® vPro®テクノロジー対応)1.20 GHz/メモリー:8GB/SSD:256GBとなってます。
CF-20はデタッチャブル式のコンバーチブルPCで、合体して「ノートPCスタイル」か、ディスプレイ部を取り外し「タブレットスタイル」として使用もできます。これの良い所は、質量約1.76kg(タブレット部は約0.95kg)とタフブックシリーズ通して最軽量な部類な所で、最近の機種は、タブレットで1.2kg、キーボード含めると2㎏は軽く超えてしまいます。電車での移動を考えるとこの軽さは魅力です。


フロント部分にはカードリーダーが付いてますので、カタログ写真とは外観の違いがあります。


タブレット部脱着の「ロック機構」


本体の開閉も工具箱のような金属製「ラッチ」が付いていて、衝撃で開くことはない



ToughBook FZ-G2+キーボードベース(オプション)
現在使っているのがこの機種です。大活躍のこのマシンですが、最大のネックは「重さ」。キーボードセットですと2kgを超えます。ですので通常は「タブレットのみ」現場で使い、事務所でキーボードベースに装着します。


このFZ-G2。基本はタブレット本体のみでキーボードは付属しない(オプション)。でも結局、タブレットだけでは作業が完結しないのでオプションのキーボードベースを購入。CPUは10世代のIntel Core i5。本当に進化の遅いパソコンですが、それだけ開発にも細かい技術が必要なマシンなのです。搭載センサーは照度センサー、地磁気センサー、ジャイロセンサー、加速度センサーなどがあります。
ディスプレイの明るさは最大輝度1000㏅と群を抜いて明るい。また、最低照度は2㏅です。軍隊など、夜間に照度を下げる必要がある場合でも、暗闇なら視認できる最低照度の仕様になってます。


オプションの「キーボードベース」装着

タブレット部の着脱部。2重ロックになっている。装着も固くしっかり固定されている感覚。

ピカ一にカッコよくなるのがこの合体。
タブレットとしてみた場合、CF-20のタブレット部(14.4mm)より、G2(23.5mm)は「堅牢性能」は高い。まず、オプション装着の関係上、外装も倍近く厚い。しかし、このキーボードが思ったより良かったので、いい点を挙げてみます。
- キーボードの深さと打ちやすさが、「レッツノート」レベルである事。
- 丸いホイールパッドではなく四角いトラックパッドだが、「右側隅」の上下でスクロールが可能。
- スペースキーでもスクロール可能
- バックライト付きである。(色は3色、1と2切り替え可能)


取っ手付きですが、この取っ手が重要。どうしても頭が重たいバランスなので、取っ手を広げることで支えになる



前面のラッチは、完全にロックして簡単に開くものでは無い。また蓋の開閉も重さがあり、坂道を転がっても開かない。

ナイトモード
タフブックシリーズ通して採用されている、昼夜で切り替えて画面の調整ができる機能です。Windows標準の「目に優しい」モード切替とは違い、実務的なモード切替機能です。


暗闇で「画面の色彩」「明るさ」「バックライトキーボードの色味と明るさ」などを設定できます。画面のカラーは通常・灰・緑・赤・ブルーライトカットです。



オプションユニット一覧
| 取付エリア | 品名 | 品番 | メーカー希望 小売価格(税込) |
|---|---|---|---|
| 拡張エリア① | microSD カードスロット | FZ-VSMG221U | 9,900円 |
| バーコードリーダー | FZ-VBRG231U | 62,150円 | |
| USB2.0(Type-A)ポート | FZ-VUBG211U | 8,250円 | |
| LANコネクター | FZ-VLNG211U | 9,900円 | |
| シリアルコネクター | FZ-VSRG211U | 17,050円 | |
| サーマルカメラ | FZ-VTSG211U | 112,200円 | |
| 拡張エリア② | 非接触ICカードリーダー | FZ-VRFG211U | 18,700円 |
| スマートカードリーダー | FZ-VSCG211U | 12,100円 |

防爆仕様がないのはなぜ
タフパッド防爆モデルがかつては存在したが、今はパナソニックでは発売していない。かつて存在したモデルは防爆仕様の5型のタフパッドで、Windows搭載モデルのFZ-E1シリーズとAndroid搭載モデルのFZ-X1シリーズがある。LTE/3Gによる音声通話とデータ通信が可能で、デジタルカメラやバーコードリーダーも内蔵されていた。


爆発性のガスが存在する場所で、ガスが電気火花や高温度の物体などの点火源に触れると爆発や火災が起きる可能性がある。そのため、このような場所で使用する電気機器には、火花や高温度による爆発を防止する構造となっている「防爆機器」を使用しなければならない。労働安全衛生法で、危険場所で使用する防爆機器は、検定合格標章の表示のないものを使用してはならないと定めており、不適切な機器を従業員に使用させるとコンプライアンス違反となる。タフバッド防爆モデルは、この国内防爆検定を取得しており、第二類危険箇所(Zone2)で使用可能でした。
現在は特殊業務用途タブレットとして数社が販売している。
タフブック 全シリーズ 年表
パナソニックの「タフブック(TOUGHBOOK)」シリーズは、建設現場での施工管理から、激しい気温変化や結露が伴う過酷なアウトドア環境まで、あらゆる現場を支え続ける頑丈PCの代名詞ですが、馴染みのないせいか、機種が分かりにくい。
1994年の前身モデルから現在に至るまでの、主力シリーズの進化の歴史をまとめました。
長年現場で愛された定番の堅牢デザイン. ソース: What Laptop Magazine / Future via Getty Images
タフブックシリーズ 年表

CF-41(タフブックの前身)
1994年 CD-ROMドライブを内蔵した初のノートPC。マグネシウム合金を採用し、後のタフブックシリーズの原点となる耐久性を備えていました。
CF-25(初代タフブック)
1996年「タフブック」の名を冠した最初のフルラギッド(完全高耐久)モデル。高さ約70cmからの落下に耐え、防塵・防湿性を実現し、ここから本格的な歴史が始まります。
CF-27
1999年 初めて天板に「TOUGHBOOK」のロゴが刻印されたモデル。屋外での通信を可能にするGSM/WANを内蔵し、現在の現場DXの先駆けとなりました。
CF-07
2001年 本体と分離したワイヤレスディスプレイを採用した初のラグドタブレット型端末。
CF-18 & CF-50
2003年 CF-18: 画面を回転させてタブレットPCとしても使えるコンバーチブル型を採用。CF-50: オフィスと現場の往復に適した初のセミラギッドモデル。
CF-30
2007年 直射日光下でも視認性の高い超高輝度ディスプレイを搭載。屋外の強い日差しの中での図面確認など、作業効率を劇的に向上させました。
CF-U1 & CF-H1
2008年〜2009年 CF-U1 (2008): 世界初のフルラギッド・ウルトラモバイルPC。バーコードスキャナーなどを統合。CF-H1 (2009): 消毒液での拭き取りに対応した、医療現場向けのモバイルクリニカルアシスタント。
TOUGHPAD G1
2012年 世界最軽量(当時)のフルラギッドタブレット。この時期からタブレット特化の「タフパッド」ブランドも展開されました。
TOUGHBOOK 20
2016年 世界初の**2in1デタッチャブル(キーボード着脱式)**ノートPC。現場ではタブレットとして持ち歩き、事務所ではノートPCとして入力作業を行う運用を可能にしました。
TOUGHBOOK 33 & 55
2018年〜2019年 TOUGHBOOK 33 (2018): 12インチの2in1モデル。TOUGHBOOK 55 (2019): **拡張モジュール構造(モジュラーデザイン)**を初採用。ユーザー自身でポートやドライブを追加・変更できる画期的なモデルです。
TOUGHBOOK G2 & 40
2021年〜2022年 サステナブルデザインを意識したモジュラーコンセプトをさらに強化。**40 (2022)**は究極のモジュラー型フルラギッドPCとして登場しました。
TOUGHBOOK 40mk2
2024年 AI対応のインテル Core Ultra プロセッサーを搭載した初のタフブック。通信環境の悪い現場でも、端末単体での高度なデータ処理が可能になりました。
映像で当時の実機デザインやサイズ感を確認したい場合は、海外の公式発表動画Panasonic Toughbook history in five laptops (YouTube)が分かりやすくまとまっています。

レッツノートが「都市のオフィスや満員電車」を生き抜くための相棒なら、もう一つの国産頑丈PC「タフブック(TOUGHBOOK)」は、砂漠、雪山、建設現場、そして警察や軍の最前線など「生きて帰ることが最優先される過酷な現場」のための生命維持装置です。
見た目からして異彩を放つタフブックですが、その中身にはレッツノート以上に常軌を逸した「秘密」が隠されています。
極限環境テスト中のTOUGHBOOK. ソース: TechTough
灼熱と極寒を生き抜く秘密
一般的なPCは、頭脳であるCPUを冷やすためにファン(換気扇)で外気を取り込みます。しかし、砂埃が舞う建設現場や、水しぶきがかかる場所でそれをやると、一発で内部がショートするか、チリが詰まって熱暴走します。
そのため、タフブックの頑丈モデルは完全に密閉された「ファンレス構造」です。
- 熱は「骨組」から逃がす: ファンがない代わりに、内部の熱を効率よく外へ逃がすため、肉厚なマグネシウム合金の筐体(シャーシ)そのものを巨大なヒートシンク(放熱板)として使う設計になっています。
- マイナス20℃では「自分で暖まる」: 極寒の雪山や冷凍倉庫では、バッテリーや液晶が凍りついて起動しなくなります。タフブックには「ヒーター」が内蔵されており、極寒の地ではまず自らを温めてからシステムを起動するという、まるで生き物のような仕組みを持っています。
アメリカ軍が惚れ込んだ「MIL規格」の生みの親
タフブックの頑丈さを語る上で外せないのが、米国国防総省が定める調達基準「MIL規格(MIL-STD-810H)」です。今でこそ多くの製品がこの規格を謳っていますが、パナソニックはその基準作りや、さらに上を行く試験を自社で行っています。
神戸工場で行われる試験のレベルは、もはや「拷問」です。
- 180cmからの落下: レッツノートの76cm(机の高さ)に対し、タフブックは180cm(大人の身長以上)の高さから合板やコンクリートへ何度も落とされます。
- 全方位からの高圧放水・粉塵: あらゆる角度から強烈な勢いで水を浴びせ、目の細かい砂を吹き付けられても、内部には1滴の水、1粒の砂も入れません。
「直射日光」に勝つ、画面の秘密
屋外の現場でタブレットやPCを使うとき、太陽光が眩しくて画面が全く見えなくなった経験はありませんか? 画面を明るくすれば見えますが、それではバッテリーが瞬時に溶けてしまいます。
タフブックの液晶には、「低反射層」と「光学粘着剤」を組み合わせた特殊な積層技術が使われています。 外光の反射を物理的に打ち消すことで、直射日光の下でもバックライトの電力を最小限に抑えつつ、印刷物のようにハッキリと文字や図面が読めるようになっています。
濡れた手、手袋、泥だらきでも動く「執念のタッチパネル」
スマホや普通のタブレットは、画面に水滴がついたり、軍手をはめていたりすると全く操作できなくなります。しかし、現場では「雨が降ってきたから」「手袋をしているから」という理由で操作を諦めるわけにはいきません。
タフブックの画面には、以下のモードを瞬時に切り替えるコントローラーが積まれています。
- 水滴誤動作防止モード: 画面に流れる雨水を「タッチ」と誤認識しないよう、静電容量の閾値をリアルタイムに計算・カットします。
- 手袋(グローブ)モード: 分厚い作業用手袋をしていても、その上からかかる圧力を感知して正確にタップ操作を受け付けます。
海外の警察・救急車・軍が「手放せない」最大の理由
実はタフブック、国内よりも海外(特に北米・欧州)の公共安全・インフラ分野で圧倒的なシェアを誇っています。アメリカの警察車両の助手席にガッチリ固定されているタフブックを見たことがあるかもしれません。
彼らがタフブックを信じる最大の理由は、「同じ形を長年維持してくれるから」です。 彼らは車両に高価な「専用マウント(固定器具)」を設置してPCを搭載します。PCのモデルチェンジのたびに本体の形状やポートの位置が変わってしまうと、車両すべてのマウントを何千台分も交換しなければならず、数億円の損失になります。 パナソニックは、内部の性能を最新に進化させつつも、外側の形状や接続コネクタの位置を驚くほど長期間維持し続けます。この「現場のコストと運用の継続性」に寄り添う姿勢こそが、世界中で信頼される最大の秘密です。
【レッツノートとタフブックの血統】
面白いことに、このタフブックもレッツノートと同じ**「兵庫県・神戸工場」で開発・製造されています。 究極の「軽さとビジネスの効率」を追うレッツノートと、究極の「壊れなさと人命・現場の維持」を追うタフブック。アプローチは真逆ですが、「現場で絶対にユーザーを裏切らない」**という思想の根底は、全く同じ Made in Kobe の血筋です。


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