
「タモリ全く面白くない」同調の梶原雄太「本音、好みじゃない。炎上するの分かってた」真意説明 (日刊スポーツ)
タモリさんの芸風に対して「全く面白くない」と感じるのは、現代のバラエティ番組や漫才が求める「笑い」の定義と、彼が立っている場所が根本的に異なるからかです。それすら理解できないのであれば「かなりの重症です」
現在の主流である「爆笑」を目的とした笑いと、タモリさんが体現している「博学ゆえの面白がり方」の違いについて、いくつか視点を整理してみました。
「おかしさ」と「興味深さ」の乖離
現代のバラエティ(特に第7世代以降や賞レース系)は、「ボケとツッコミのスピード感」や「共感性の高いあるあるネタ」が主流です。視聴者が即座に「あ、面白い!」と反応できる、反射神経的な笑いです。
一方、タモリさんの笑いは、本人が面白いことを言うのではなく、「対象を面白がる姿を見せる」という特殊なスタイルです。
現代の笑いは芸人が視聴者を笑わせる(サービス精神)のがスタンダードですが、タモリさんは自分が勝手に面白がっている様子を、視聴者が横から眺める(突き放した視点)がスタイルなので、この議論自体がナンセンスといえます。
「博学」が笑いのハードルを上げている
タモリさんの「博学」は、もはやネタのフリではなく、単なる「ガチの知識」として機能しています。
『ブラタモリ』が良い例ですが、断層や歴史の微細な違いに興奮する姿は、同じ知識レベルや好奇心を持っていないと「何が面白くてニヤニヤしているのか分からない」という状況を生みます。
知識があるから笑えるのではなく、知識があるから「ニヤリ」として完結してしまう。 これが、大声を上げて笑いたい層には「退屈」や「スカしている」と映る要因でしょう。
「芸」から「知の象徴」への変遷
かつてのタモリさんは、密室芸(イグアナの形態模写、デタラメ外国語)など、もっと毒があってナンセンスな「芸人」でした。しかし、現在は「知的なご意見番」や「文化人」としての佇まいが強すぎて、「笑わせようとする必死さ」が皆無です。
大御所ゆえ、必死に爪痕を残そうとする若手芸人と違い、彼は「別に笑われなくてもいい」というスタンスでテレビに居続けています。この温度差が、今の「熱量の高い笑い」に慣れた目には物足りなく映ります。
タモリさんの凄さ
専門家をも唸らせる「アマチュアリズム」
タモリさんは自身のことを「永遠のアマチュア」と称します。しかし、その興味の対象に対する解像度は、プロの技術者や研究者に匹敵します。
- マニアックな視点: 鉄道、地図、坂道、そして城の石垣や断層など。これらを「仕事」としてではなく、純粋な「知的好奇心」だけで掘り下げる姿は、その分野の専門家から見ても一目置かれるレベルにあります。
- 聞き上手な知性: 自分が知識をひけらかすのではなく、専門家から面白い話を引き出す「媒介」としての能力が突出しています。
本格的なジャズへの造詣とトランペット
タモリさんは芸能界入りする前、早稲田大学のモダンジャズ研究会に所属し、トランペットを担当していました。一時期はジャズ喫茶のマネージャーを務めていたこともあり、その知識と耳はプロ級です。実際アルバムも発表していて非凡な一面が感じられます。
即興性の重視
ジャズの基本である「アドリブ(即興)」の精神は、彼の「台本なしで場を回す」司会スタイルや、その場のノリで嘘をつく芸風に直結しています。
マニアックな視点
楽曲のメロディよりも、リズムやコード進行、あるいは「楽器の鳴り方」といった構造的な面白さに惹かれる傾向があります。
シングル
| NO. | タイトル | B面 | 形態・発売日 | 品番・発売元 |
|---|---|---|---|---|
| 1st | 狂い咲きフライデイ・ナイト | スタンダード・ウィスキー・ボンボン | EP:1981年 | 07SH-1011(CBS/SONY) |
| 2nd | タモリのワーク・ソング | 久美ちゃんMy Love 〜ディア・オールド・ストックホルム〜 | EP:1981年 | 07SH-1089(CBS/SONY) |
アルバム
| ジャケットタイトル | 形態・発売日 | 品番・発売元 | 備考 |
|---|---|---|---|
| タモリ | LP:1977年03月20日 | ETP-72227(東芝EMI/Alfa) | 毛沢東風中国人・マッカーサー風アメリカ人・ヒトラー風ドイツ人・寺山修司風日本人のモノマネによる「四カ国親善麻雀」が収録されているが、元々は寺山修司ではなく昭和天皇の物真似であった。発売になったのは修正版。2007年発売版では「CMブラジャー・ミシン」(ブラザー工業風のラジオCM風パロディ)のセリフの一部がカットされて収録されている(乳がん患者への配慮と思われる)。 |
| ALR-4013(アルファ) | |||
| ALCA-9159(アルファ) | |||
| MHCL-1238(Sony Music Direct) | |||
| タモリ2 | LP:1978年12月20日 | ETP-80060(東芝EMI/Alfa) | 講師として中洲産業大学芸術学部西洋音楽理論の森田一義助教授の音源が収録されている。 |
| ALR-4007(アルファ) | |||
| ALCA-9160(アルファ) | |||
| MHCL-1239(Sony Music Direct) | |||
| タモリ3- 戦後日本歌謡史 – | LP:1981年9月10日 | TAMORI-3(アルファ) | 実際には『タモリ2』発売以前より録音されており、当初はこの内容が『タモリ2』になるはずであった。戦後の名曲をパロディにしているため著作権上の疑義が指摘され、初回プレス分の3万5000枚だけを新星堂で限定発売し直ちに廃盤という運命をたどる[140]。未CD化。 |
| ラジカル・ヒステリー・ツアー | LP:1981年05月01日 | 27AH-1237(CBS/SONY) | サザンオールスターズの桑田佳祐、THE SQUARE(現:T-SQUARE)の安藤まさひろ(本名の安藤正容名義)と当時メンバーであった久米大作が楽曲を提供。安藤、久米の提供曲はTHE SQUAREがバック演奏を担当している。CD化の際にシングル「タモリのワーク・ソング」AB面を追加収録。中野サンプラザなどで全国ツアーを行った。 |
| MHCL-1240(Sony Music Direct) | |||
| HOW ABOUT THIS | LP:1986年09月21日 | VIH-28272(Invitation) | 大マジなジャズ・アルバム。LPとCDで一部収録曲が異なる。 |
| VDR-1276(Invitation) |
結論としての違い
| 項目 | 現代の主流の笑い | タモリ的な笑い |
| 構造 | 起承転結と明確なオチ | 結論のない雑談や観察 |
| スタンス | 視聴者に寄り添う(共感) | 視聴者を置いてけぼりにする(孤高) |
| 源泉 | 感情の起伏、リアクション | 知的好奇心、マニアックな視点 |
タモリさんの面白さは、例えるなら「高低差の激しい坂道を見てニヤリとする」ような、非常に限定的な文脈の中にあります。それを「知的な遊び」と捉えるか、「ただの蘊蓄(うんちく)オジサン」と捉えるかで、評価が真っ二つに分かれるのは必然と言えるかもしれません。
今のエンタメに溢れている「分かりやすいカタルシス」とは、対極にある存在といえますね。
今のテレビ界において、彼のような「教養をベースにした脱力感」は、もはや絶滅危惧種に近いのかもしれません。


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