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名古屋人が歩かない訳 バス停・駅からの距離1㎞圏内カバー率との関係

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名古屋のバス停・駅からの距離1㎞圏内カバー率

名古屋の公共交通のカバー率は、実は非常に優秀です。データによれば、鉄道駅から800m、バス停から500m圏内の「公共交通人口カバー率」は99.2%に達しており、1km圏内で見れば市内全域がほぼ網羅されています。

それにもかかわらず「名古屋人は歩かない」と言われるのは、交通網の欠如ではなく、都市の構造と道路空間の設計そのものが歩行に適していないからです。その背景には、いくつかの明確な理由が存在します。

「面」ではなく「点」の都市開発

東京や大阪では、駅周辺から商店街や繁華街がシームレスに繋がり、「歩いて回る(面での移動)」のが楽しい街の作りになっています。 一方、名古屋は「点での移動」が主流です。自宅から車に乗り、イオンのような大型ショッピングモールや目的地の駐車場へ直接向かいます。道中はただの「通過点」であり、街全体を面として回遊する関心が薄いため、結果的に歩く距離が極端に短くなります。

歩行者の体力を奪う「不必要なアップダウン」

名古屋の道路空間は徹底して車優先で設計されています。広い車線は車の移動には最適ですが、歩行者がそれを横断しようとすると、長い信号待ち、歩道橋、あるいは地下道への階段など、不必要なアップダウンを強いられます。 新しい大阪駅などのように、階段を使わなくてもフラットに移動できる導線が整っている街(東京・大阪)と比較すると、名古屋の街歩きは構造的に疲れやすいと言えます。車社会の陰に隠れて、お年寄りや体の不自由な人に対するフラットな歩行空間への配慮が希薄になりがちな側面があります。

改修工事における昇降設備拡充のハードル

ウォーカブルな街づくりを進め、真夏に広大な地下街から地上へエスケープする待避ルートを確保するためには、街なかの昇降設備の拡充が急務です。

しかし、栄や名駅周辺に建つ既存ビルにおいて、テナント入居工事や大規模修繕工事の際にエレベーターやエスカレーターを後付けすることは容易ではありません。巨大なピットやシャフト(昇降路)を新設するための躯体開口、構造計算のやり直し、空調・衛生配管の取り合いなど、施工管理上のハードルが非常に高くなります。その結果、地下空間は広く発達しているにもかかわらず、地上へ上がるための快適な立体動線が限られ、歩行者に「不便だ(歩きたくない)」と感じさせる一因となっています。

広いアスファルトと過酷な温熱環境

道路の占用面積が広く車線が多いということは、アスファルトが直射日光を吸収する面積が大きいことを意味します。とくに夏の名古屋では、路面からの輻射熱が強烈です。バス停や駅まで1km(徒歩12〜15分程度)であっても、木陰の少ない幅広の歩道を歩くことは過酷です。そのため、空調の効いた車内空間でのドア・ツー・ドアの移動が選ばれるのは、非常に合理的な防衛策とも言えます。

クルマという「動くプライベート空間」の定着

公共交通機関だけで生活しようとすると、駅までの徒歩移動や待ち時間が発生します。名古屋圏では、通勤や買い物の際に、満員電車やバスを待つストレスよりも、自身のパーソナルスペースを保てる車移動を好む傾向が定着しています。「歩かない」というよりも、「歩かなくても生活を完結できるインフラが整いすぎている」というのが実態です。

影を作る街づくり

東京大阪に比べ、建造物の密度が少ない名古屋では日影が少ないのです。広い公園を整備すれば収まる問題ではありません。地下街のある所はよくても、大通りの歩道は灼熱地獄となっている現状があります。路面温度は優に50℃を超え危険なレベルです。それは多くの土地を道路で占有し、民間の公開空地や休息エリア創りを阻害してきた名古屋の当然の結果と言えるでしょう。

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