
無神経な喫煙者による被害
この話は自身の経験からお話しする話題です。私の母が亡くなった原因は「くも膜下出血」でした。実家は寒冷地のため、冬季は密室の状態。その中で母は「たばこの煙」を吸わされ続けていました。それで因果関係があるのではないかと思い、少し調べたのが今回の記事です。
結論からお伝えすると、副流煙(受動喫煙)とくも膜下出血の間には非常に密接な関係があり、発症のリスクを有意に高めることが多くの研究で明らかになっています。
1. リスクはどれくらい高まるのか?
国立がん研究センターなどの研究グループによる大規模な調査(JPHC研究)では、受動喫煙が脳卒中に与える影響が報告されています。
- 発症リスク: 非喫煙者であっても、家庭や職場で日常的に副流煙を吸い込んでいる人は、そうでない人に比べてくも膜下出血の発症リスクが約1.7倍〜2倍近く高まるというデータがあります。
- 性別の傾向: 特に女性において、夫が喫煙者の場合にくも膜下出血のリスクが高まる傾向が強く指摘されています。
2. なぜ副流煙が原因になるのか?
副流煙には、喫煙者が直接吸う「主流煙」よりも高い濃度の有害物質(ニコチン、タール、一酸化炭素など)が含まれている場合があります。これらが血管に悪影響を及ぼします。
- 血管壁のダメージ: 有害物質が血管の内膜を傷つけ、動脈硬化を促進します。
- 脳動脈瘤の形成と破裂: くも膜下出血の主な原因は脳動脈瘤(血管のコブ)の破裂ですが、タバコの成分は血管を弱くし、このコブを破裂しやすくさせます。
- 血圧の上昇: ニコチンなどの成分により血管が収縮し、血圧が上がることも破裂の引き金になります。
3. くも膜下出血の主なリスク要因(参考)
副流煙以外にも、以下の要素が組み合わさるとさらに危険性が高まります。
| 要因 | 影響 |
| 喫煙(本人) | 最大のリスク要因の一つ。 |
| 高血圧 | 血管に常に負担がかかる状態。 |
| 過度の飲酒 | 血管の脆弱化を招く。 |
| 遺伝(家族歴) | 親族にくも膜下出血を経験した人がいる場合。 |
今後の対策としてできること
もし周囲に喫煙者がいる環境であれば、以下の対策が推奨されます。
- 環境の改善: 可能な限り禁煙環境を整えることが最も効果的です。
- 血圧管理: 副流煙の影響を最小限にするためにも、自身の血圧を正常範囲に保つことが重要です。
- 脳ドックの検討: 40代以降や家族歴がある場合は、未破裂脳動脈瘤がないかMRI検査(脳ドック)を受けることで、未然に防げる可能性が高まります。
注意: 突然の激しい頭痛(バットで殴られたような痛み)、吐き気、意識の混濁などが起きた場合は、迷わずすぐに救急車を呼んでください。


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