
はじめに
2025年も残すところあとわずかとなりましたが、照明に関する大きな転換期が迫っています。
結論から申し上げますと、「水俣条約」に基づき、2027年末までにほぼすべての一般用蛍光灯の製造・輸出入が終了します。 すでに多くのメーカーが生産を縮小しており、今後、蛍光灯の入手はますます困難になり、価格も上昇していくことが予想されます。
LED化にあたって、絶対に知っておくべき**「安全上の注意点」と「賢い進め方」**を整理しました。
1. 2027年問題:いつ何がなくなる?
| 対象の種類 | 製造・輸出入の終了時期 |
| 一般用蛍光灯(直管・丸形・コンパクト) | 2027年12月31日まで |
| 一部の特殊な蛍光灯(医療用など) | 規制対象外(継続) |
[!IMPORTANT] 「製造」が終わるだけで、今使っているものをすぐに捨てる必要はありません。ただし、在庫がなくなると交換用のランプが手に入らなくなるため、早めの計画的なLED化が推奨されています。
2. LED化の「2つのパターン」と注意点
蛍光灯からLEDに変える方法は大きく分けて2つありますが、ここを間違えると火災などの事故につながる恐れがあります。
蛍光灯からLEDへの交換方法は、大きく分けて「ランプだけ交換する」か「器具ごと丸ごと交換する」かの2通りです。
現在の器具の状況や、予算、安全性への考え方によって最適な方法が変わります。それぞれの具体的な手順と注意点を解説します。
ランプ(電球)の中身だけをLEDに交換する
今お使いの照明器具本体はそのまま使い、蛍光灯の管を「LED型のランプ」に入れ替える方法です。初期費用を抑えられますが、最も注意が必要な方法です。
手順と重要チェックポイント(管型)
① 今の器具の「点灯方式」を確認する(※最重要)
蛍光灯には3つの点灯方式があり、それぞれの方式に対応したLEDランプを選ばないと、火災や故障の原因になります。
| 点灯方式 | 見分け方の特徴 | 必要なLEDランプ |
| グロー式 | 「点灯管(グロー球)」という小さな豆電球のような部品がついている。「カチカチ…パッ」と点灯する。![]() | **「グロー式対応」**のLEDランプ ※交換時にグロー球を取り外す必要があります(代わりに付属のダミープラグを付ける場合もあり)。 |
| ラピッド式 | グロー球がない。スイッチを入れるとすぐに「パッ」と点灯する。![]() | **「ラピッド式対応」**のLEDランプ |
| インバーター式 | グロー球がない。すぐに点灯し、チラつきが少ない。比較的新しい器具に多い。![]() | **「インバーター式対応」**のLEDランプ |
② 器具の「使用年数」を確認する
器具が設置されてから10年以上経過している場合、たとえLEDランプに交換しても、器具内部の「安定器」という部品が劣化していて発火するリスクが残ります。古い器具の場合は、この「ランプ交換」ではなく、次の「器具ごと交換」を強く推奨します。
[!WARNING]
【危険】
「ラピッド式」や「インバーター式」の器具に、誤って安価な「グロー式専用LED」を取り付けると、過電流が流れて発煙・発火する事故が多発しています。方式が不明な場合は、絶対にこの方法をとらないでください。
電球型蛍光灯からLED電球への交換(電球型)
口金サイズ(E26, E17など)と器具の適合性(調光器対応、断熱施工器具対応など)を確認すれば、比較的簡単にできますが、蛍光灯器具とLED電球の相性が重要です。器具が「白熱電球用」や「パルックボール専用」と記載されているか、点灯管(グロー球)の要不要を確認し、対応するLED電球を選びましょう。不適切な交換は、発熱・発火の危険があるため、取扱説明書を熟読し、不安な場合は器具ごとLED照明に交換するか、専門業者に相談するのが最も安全です。
交換前の確認事項(最重要)
- 口金サイズ: E26かE17かなど、今使っている電球と同じサイズか測って確認します。
- 器具のタイプ:
- 「白熱灯用」 または 「パルックボール専用」 の表示があるか確認。
- 点灯管(グロー球) が必要か確認(必要な場合は取り外す必要があります)。
- 調光機能付きなら「調光器対応」LEDを選ぶ。
- 密閉型・断熱材施工器具なら対応LEDを選ぶ。
- LED電球の特性:
- 色味(電球色・昼白色など) を合わせる。
- 配光(光の広がり方) が変わる場合がある。
- 水滴がかかる場所(浴室など)では使えない。
交換手順(一般的な電球タイプ)
- 必ず電源を切る(ブレーカーを落とすのが確実)。
- 古い電球型蛍光灯を反時計回りに回して外す。
- 点灯管が付いている場合は、忘れずに取り外す(LEDは不要)。
- 新しいLED電球を時計回りに回してしっかりと取り付ける。
- 電源を入れて点灯を確認する。
注意点(事故防止のため)
- 器具ごとLED化を推奨: 器具が古く(10年以上)、メーカー保証対象外になること、安全性の観点から器具ごとLEDシーリングライトへの交換が最も推奨されます。
- 無理な交換はしない: 適合しないLEDや不適切な取り付けは、発熱・発火・ショートの原因になります。
「口金」サイズの種類と確認方法
E26口金(直径26mm)はメインライト、E17口金(直径17mm)はダウンライトや間接照明として、ご家庭で広く使われている口金サイズです。さらに小形のE12口金(直径12mm) 、E11口金(直径11mm)もあります。
口金部分の直径を定規で測ればサイズを確認することができます。


方法2:照明器具本体を丸ごと交換する(推奨)
天井に付いている器具を一度取り外し、LED専用の新しい照明器具に取り替える方法です。安全性が高く、省エネ効果も最大化できます。
手順と工事の要・不要
パターンA:自分で交換できる場合(主に家庭用)
天井に下図のような**「引掛(ひっかけ)シーリング」や「ローゼット」**と呼ばれる配線器具が付いている場合は、電気工事の資格がなくても自分で簡単に交換できます。

- 古い器具を回して取り外す。
- 新しいLEDシーリングライトのアダプターを「カチッ」と音がするまではめ込む。
- 本体を押し上げて固定し、カバーを付ける。
パターンB:電気工事が必要な場合(オフィスや古い住宅など)
以下のような場合は、電気配線を直接触る必要があるため、電気工事士の資格を持つプロによる工事が必須です。
- 天井から電線が直接器具につながっている(直結配線)。
- オフィスなどで天井に埋め込まれているタイプの照明。
- 前述の「引掛シーリング」自体が劣化してグラグラしている、ひび割れている場合。
まとめ:どちらの方法を選ぶべきか?
| 比較項目 | 方法1:ランプだけ交換 | 方法2:器具ごと丸ごと交換 |
| 費用 | 安い | ランプ代+器具代(+工事費) |
| 手間 | 簡単(適合さえ合えば) | 器具によっては工事手配が必要 |
| 安全性 | 器具が古いとリスクあり。方式間違いによる事故リスクあり。 | 高い(新品になるため安心) |
| 省エネ性 | 蛍光灯よりは良いが、器具の劣化分ロスが出る。 | 最も高い |
| こんな人に | 器具が比較的新しく(10年未満)、点灯方式を確実に確認できる人。 | 安全・安心を最優先したい人。器具が10年以上古い人。 |

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【重要】安全のためにチェックすべき3項目
- 器具の寿命を確認: 照明器具の耐用年数は約10年です。10年以上使っている器具にLEDランプだけを付けるのは、古い機械に無理をさせることになるため、器具ごとの交換をおすすめします。
- 配線工事の有無: 「バイパス工事(安定器を切り離す工事)」を行うと、どんなLEDランプも安全・効率的に使えるようになります。中長期的に見れば、この工事を行うのが最も経済的です。
- 補助金の活用(2025〜2026年): 自治体や国によっては、オフィスやマンション共用部、さらには家庭向けの「LED化促進補助金」が出ている場合があります。申請期間が限られているため、お住まいの地域の最新情報を確認しましょう。






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