
宝くじの販売不振
最高賞金3倍超でも、売れ行き20年で3割減 宝くじ販売低迷のなぜ(yahooニュースより)
宝くじの販売不振が続く背景には、「期待値の低さ」が可視化されたことや、娯楽の多様化が大きく影響しています。
他のギャンブル(公営競技など)と比較すると、宝くじは圧倒的に「当たりにくく、手元に戻ってくる金額が少ない」のが現実です。具体的な数字で比較・解説します。
宝くじを購入する人の傾向
宝くじを購入する人の特徴を、最新の統計データ(宝くじ公式サイトの調査など)や心理学的側面から紐解くと、いくつかの興味深い傾向が見えてきます。
「数学的に損だとわかっていても買ってしまう人」には、以下のような属性や心理的共通点があります。
属性・統計的データ(誰が買っているか)
統計によると、宝くじのメイン層は「安定した層」です。
- 年齢層:50代・60代が中心
- 購入経験率・頻度ともに50代以上が圧倒的に高く、逆に20代・30代の若年層は低い傾向にあります。
- 年収:中〜高所得層も多い
- 「宝くじは低所得者の税金」と言われることもありますが、日本の統計では年収が高い世帯ほど購入経験率が高いというデータもあります(特に年収1,000万円以上の層など)。余裕資金で「お遊び」として楽しむ層が一定数存在します。
- 職業:会社員が最多
- 高額当選者の職業別データでは「会社員(約4割)」が最も多く、次いで無職・主婦と続きます。日々の生活に大きな不満はないものの、「劇的な変化」を期待する層が購入しています。
心理的特徴(なぜ買うのか)
宝くじを買う人は、合理性(損得)よりも感情的価値を優先する傾向があります。
- 「夢を買う」という自己納得: 当選発表までの数日間、「もし当たったら何に使おうか」と空想する時間に価値を感じています。これは一種の「メンタル・レクリエーション」です。
- 楽観的バイアス: 「根拠はないが、自分は運が良い」「いつか当たる気がする」というポジティブな思考(あるいは確証バイアス)を持つ人が多いです。
- 損失回避よりも「後悔回避」: 「もし自分が買わなかった時に、いつも買っている番号が当たったらどうしよう」という後悔を避けたいという心理が働いています。
宝くじの販売が低迷している主な理由
宝くじの売上は、2005年度の約1.1兆円をピークに減少傾向にあり、近年は8,000億円前後で推移しています。
- 還元率の低さの認知: インターネットやSNSの普及により、「宝くじは最も損なギャンブルである」という数学的根拠が広く知れ渡るようになりました。
- 若年層の「夢」への冷ややかな視線: 「買わなきゃ当たらない」という夢よりも、より現実的な投資(新NISAなど)や、勝率の高い他の娯楽に資金が流れています。
- 高額当選の「一点豪華主義」への依存: 1等賞金を上げるために当選本数を削った結果、「ますます当たらない」という印象が強まり、購入意欲が削がれています。
他のギャンブルとの「還元率(控除率)」比較
還元率とは、「支払った金額のうち、平均して何%が配当として戻ってくるか」を示す指標です。
| 種類 | 還元率(目安) | 備考 |
| カジノ(バカラ・ルーレット等) | 約95% 〜 98% | 世界的に最も効率が良い。 |
| パチンコ・パチスロ | 約80% 〜 85% | 試行回数が多いため収束しやすい。 |
| 競馬・競艇・競輪・オート | 約70% 〜 75% | 公営競技。自治体の収益にもなる。 |
| スポーツくじ (toto/WINNER) | 約50% | スポーツ振興が目的。 |
| 宝くじ(ジャンボ等) | 約46% 〜 47% | 法律で「50%以下」と定められている。 |
宝くじの還元率(約46%)は、他のギャンブルに比べて圧倒的に低くなっています。半分以上は最初から「当選金以外(公共事業や販売手数料など)」に消える仕組みです。
当選確率の比較
「1等(最高額)」を狙う場合の確率を比較すると、宝くじがいかに「奇跡」に近いかがわかります。
- 年末ジャンボ宝くじ (1等 7億円)
- 確率:2,000万分の1
- 例え:東京ドーム(5万人収容)400個の中から、たった1人が選ばれる確率。
- 競馬 (3連単 18頭立て)
- 確率:4,896分の1
- 実力やデータでさらに確率を上げることが可能。
- 競艇 (3連単 6艇立て)
- 確率:120分の1
- 公営競技の中で最も当たりやすいとされる。
[!NOTE]
宝くじは「実力介入の余地がない」ため、完全に運任せになります。対して競馬や競艇は「予想」という技術介入ができる点が大きな違いです。
宝くじの「正体」は寄付に近い
宝くじが他のギャンブルより還元率が低い理由は、その目的が「地方自治体の財源確保」だからです。
- 収益金の約40%: 道路、橋、学校、公園などの公共事業に使われます。
- 実質的な「愚者の税金」: 経済学者の間では、還元率の低さから「数学が苦手な人に課せられた税金」と揶揄されることもあります。
しかし、裏を返せば「外れても自分の住んでいる街の役に立っている」という社会貢献的側面があるのが、他のギャンブルにはない特徴です。

まとめ:どう付き合うべきか
- 投資や稼ぐ目的: 宝くじは最も不向きです。
- 楽しむ目的: 「数百円で発表日までの夢を買う」という娯楽として割り切るのが健全です。



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