
「Hello. Hello.」とオウム返しのように挨拶を交わす日本の英語教科書のやり取りは、実際の英語圏での会話としては非常に不自然じゃないですか?。
これは、日本の英語教育が長年抱えてきた問題点の一つであり、「生きた英語」よりも「構文や定型表現を覚えること」を重視してきた歴史的背景があるとの事。
1. なぜ教科書は不自然な会話を教えるのか?
「Hello. Hello.」や「How are you? I’m fine, thank you. And you?」といった定型的な会話文が使われる主な理由は以下の通りです。
- 構造の単純化:英語学習の導入段階で、生徒に最も基本的な構文と語彙だけを確実に使わせるため、会話のバリエーションを意図的に制限しています。
- モデルパターンの提示:「挨拶→応答」という会話の基本パターンを認識させるための「型」として機能しています。
- 音声の聞き取りやすさ:複雑な言い回しを避けることで、生徒が音声教材を聞き取り、発音を真似しやすいように配慮されています。
- 評価のしやすさ:テストで「適切な応答を選びなさい」といった問題を出す際に、明確な正解(この場合はオウム返しの “Hello”)を設定しやすいという教育側の都合もあります。
2. ネイティブならどう返す?(より自然な応答)
実際の英語圏の会話では、相手の挨拶や状況に応じて、より自然で多様な表現を使います。
| 相手の挨拶 | より自然な応答(親しい間柄) | より自然な応答(丁寧な状況) |
| Hello. | Hi! / Hey. / Good to see you! | Hello, [Name]. / Good morning/afternoon. |
| Good morning. | Morning! | Good morning. |
| How are you? | Good, you? / Not bad. / I’m great! / Can’t complain. | I’m well, thank you. And yourself? |
「Hello」に対して「Hello」と返すのは間違いではありませんが、一般的に「Hi」や「Hey」といったカジュアルな言葉で返したり、相手の名前を呼んだりする**方が、会話にリズムが生まれ、人間味のある自然なやり取りに聞こえます。
3. 最近の教科書の変化
近年、日本の英語教科書(特に2021年度以降に改訂されたもの)は、この「不自然さ」を解消する方向で大きく変化しています。
- 登場人物がより自然な応答をするようになり、スラングではないものの、よりカジュアルな表現が増えました。
- 会話を暗記するだけでなく、自分の意見や感情を伝えるための「やり取りの力」を重視する内容に変わってきています。



コメント