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長期治療患者の軽減策を維持 高額療養費見直し案、厚労省

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2025年12月5日に判明した厚生労働省の「高額療養費制度」の見直し案

医療費の負担上限額(自己負担限度額)の引き上げは行われる方向ですが、長期的に治療を続けている患者(がんや難病など)の負担が急増しないよう、特定の軽減策(多数回該当)については「据え置き(維持)」されるという内容です。

以下に、今回の見直し案のポイントを分かりやすく整理します。

1. 高額療養費制度とは?

病院や薬局で支払う医療費が、1ヶ月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻される(または窓口での支払いが免除される)制度です。

  • ポイント: 「どんなに医療費がかかっても、個人の支払いには天井(上限)がある」という安心の仕組みです。
  • 注意点: 入院時の食事代、差額ベッド代、先進医療費などは対象外です。

今回の見直し案(2025年12月判明分)の要点

これまで議論されていた「一律値上げ」ではなく、以下のようにメリハリをつけた案になりました。

項目今回の案の内容誰に影響する?
通常の限度額
(1回目〜3回目)
引き上げ(値上げ)
※所得に応じて負担増
急な怪我や、短期の入院をする人
(現役世代や一部の高齢者)
多数回該当
(4回目以降)
【維持】(据え置き)
※今の金額のまま
がん、透析、難病などで
長期的に治療を続けている人

何が「維持」されるのか?(長期治療者への配慮)

長期治療患者にとって最も重要な「多数回該当」の上限額は、引き上げを行わず現在の金額のまま維持される方向で調整されています。

  • 多数回該当(たすうかいがいとう)とは?
    • 過去12カ月以内に、高額療養費の支給を3回以上受けている場合、4回目から上限額がさらに下がる仕組みです。
    • ポイント: これまで「一律引き上げ」が懸念されていましたが、この「4回目以降の低い上限額」については値上げを見送ることで、がん治療や透析など、毎月治療が必要な人たちの家計を守る狙いがあります。

何が「変わる」のか?(一般・高所得者への影響)

一方で、通常の「1回目〜3回目まで」の月ごとの上限額については、現役世代(中間所得層〜高所得層)を中心に引き上げが行われる見通しです。

  • 理由: 高齢化や医療技術の高度化で膨れ上がる医療費(社会保険料)を賄うため、負担能力のある層には一定の負担増を求める形です。
  • 影響: 突発的な怪我や短期の入院などの場合、これまでよりも自己負担額が増える可能性があります。

今回の方針の背景

実はこの見直し議論は、当初すべての項目で引き上げが検討されていました。しかし、2024年末から2025年にかけて、がん患者団体などから「治療を断念せざるを得なくなる」といった強い反対意見が出たため、一度議論が凍結されていました。

今回の案は、「制度の持続(保険料抑制)」と「長期療養患者の保護」のバランスを取った折衷案と言えます。

今後の動き: この案は社会保障審議会などで最終確認され、正式決定される見込みです。施行時期については今後の発表を待つ必要がありますが、長期療養中の方にとってはひとまず安心できる内容となっています。

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現在の所得区分ごとの上限額

現在の所得区分ごとの上限額(これが今回の見直し議論のベースとなっています)を、70歳未満の方を例に表でまとめます。

この表の「多数回該当の金額」が、今回の見直し案で維持される(引き上げられない)ことになった金額です。

高額療養費制度:所得区分別 自己負担限度額(70歳未満)

所得区分年収の目安1回目~3回目までの上限額(A)4回目以降の多数回該当額(B)
約1,160万円~252,600円 + (医療費 – 842,000円) × 1%140,100円
約770万円~約1,160万円167,400円 + (医療費 – 558,000円) × 1%93,000円
約370万円~約770万円80,100円 + (医療費 – 267,000円) × 1%44,400円
~約370万円57,600円44,400円
住民税非課税世帯35,400円24,600円

注1: 1回目〜3回目の上限額 (A) の「医療費」は10割負担の金額です。注2: 多数回該当とは、直近12カ月間で3回以上、上限額に達した場合の4回目以降の自己負担限度額です。

今回の見直し案の影響について

今回の見直し案は、主に「ア」「イ」「ウ」の区分において、1回目〜3回目までの上限額 (A) を引き上げることが検討されています。

しかし、長期間にわたって高額な治療を続ける患者さん(がん、難病、人工透析など)が属する4回目以降の多数回該当額 (B) は、すべての区分で現在の金額が据え置かれることが決定的となりました。

この措置により、長期治療患者さんは、制度改正後も急激な負担増に見舞われることなく、治療を継続できる見込みです。

70歳以上75歳未満の方の場合

70歳以上の方は、外来(個人単位)と世帯合算(外来+入院)で上限額が分かれます。ここで維持されるのは主に世帯合算の「多数回該当」の金額です。

所得区分世帯の限度額(1~3回目)多数回該当 (4回目以降の限度額)
現役並みⅢ (年収約1,160万円超)252,600円 + (医療費 – 842,000円) × 1%140,100円
現役並みⅡ (年収約770万~1,160万円)167,400円 + (医療費 – 558,000円) × 1%93,000円
現役並みⅠ (年収約370万~770万円)80,100円 + (医療費 – 267,000円) × 1%44,400円
一般 (上記以外で課税されている方)57,600円44,400円
低所得者Ⅱ (住民税非課税世帯)24,600円24,600円
低所得者Ⅰ (低所得者Ⅱよりさらに低所得な方)15,000円15,000円

ご自身の所得区分を確認するには

ご自身の正確な所得区分を確認するには、以下の書類をご確認ください。

  1. 健康保険証: ご自身の加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の国民健康保険など)の名称を確認します。
  2. 限度額適用認定証: すでに高額療養費制度を利用している場合、交付されている「限度額適用認定証」に所得区分(例:区分ウ、一般など)が記載されています。

今回の制度見直しは、この「多数回該当」の金額が長期治療患者にとってのセーフティネットとして守られたという点が最大のポイントです。

日本生活
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