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個室サウナでの注意点

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サウナの種類

サウナ装置(サウナストーブ/ヒーター)は、「熱源を使って空気を温め、その熱で人の体を温める」というのが基本的な仕組みです。

しかし、その「温め方」や「熱源」によって、体感温度や楽しみ方が大きく異なります。主に以下の3つの主要なタイプに分類して解説します。

また、最近起きた火災のように注意点もあるので確認が必要です。

1. 電気式サウナヒーター(電気ストーブ)

現在、最も一般的に普及しているタイプです。家庭用からホテルのサウナまで幅広く使われています。

  • 仕組み: 電気で金属製のエレメント(電熱線)を熱し、その熱で周囲の空気を温めます。多くの場合は、ヒーターの上にサウナストーン(石)が積まれています。
  • 特徴:
    • 対流熱(たいりゅうねつ): 温まった空気が上昇し、室内を循環することで全体を温めます。
    • ロウリュが可能: 石が熱せられているため、そこに水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」ができる機種が多いです。
    • 制御が容易: 温度調整やタイマー設定が簡単で、安全性も高いです。

2. ガス遠赤外線ヒーター

スーパー銭湯や昔ながらのサウナ施設でよく見かける、壁に埋め込まれているような大型のタイプです。

  • 仕組み: ガスを燃料として燃焼させ、その熱でセラミックなどの放射体を加熱し、遠赤外線を放射します。
  • 特徴:
    • 輻射熱(ふくしゃねつ): 空気を温めるだけでなく、遠赤外線が直接利用者の体に届き、体の芯から温めます(太陽の光を浴びている感覚に近いです)。
    • カラカラの熱さ: 基本的にサウナストーンがないため、ロウリュはできません。湿度が低く、高温(90℃〜100℃以上)になりやすいのが特徴です(いわゆる「昭和ストロングスタイル」)。

3. 薪(まき)ストーブ

フィンランドの伝統的なスタイルで、アウトドアサウナやテントサウナ、本格的なサウナ施設で人気があります。

  • 仕組み: 炉の中で薪を燃やし、その燃焼熱でストーブ本体と上に積まれた大量のサウナストーンを熱します。
  • 特徴:
    • 柔らかい熱: 薪の燃焼による熱は、電気やガスに比べて肌当たりが柔らかいと言われます。
    • 雰囲気: 薪が燃える音、香り、炎の揺らぎなど、視覚や聴覚でもリラックス効果があります。
    • 強力なロウリュ: 火力が強いため石がよく温まり、質の高い蒸気を作ることができます。
  • 安全上の注意
    • 一酸化炭素中毒: 換気不足は非常に危険。煙突からの排気を確保し、定期的に換気・チェックする。
    • 専用ストーブ: 一般的な家庭用薪ストーブはサウナの高温・湿度に対応できないため、必ずサウナ専用品を選ぶ。
    • 薪の量: 入れすぎは過熱の原因。薪の量を調整し、ストーブ本体を傷めないようにする。 

比較まとめ:熱の伝わり方の違い

サウナの「熱さ」の感じ方は、以下の2つの物理現象のバランスで決まります。

種類主な熱の伝わり方特徴
対流熱空気の流れで温める電気式・薪ストーブに多い。室内の空気が循環して全体を包み込む。
輻射熱電磁波(遠赤外線)で直接温めるガス遠赤外線式・薪ストーブに多い。ヒーターの正面にいるとジリジリと熱く感じる。

補足:ロウリュ(蒸気)の仕組み サウナストーンに水をかけると、一瞬で水が沸騰・気化し、体積が約1700倍に膨れ上がります。この高温の水蒸気が室内に充満すると、体感温度が一気に上がり、発汗が促進されます。

特殊なタイプ:スチーム・ミストサウナ

上記のような「ドライサウナ」とは異なり、装置の仕組みが全く違います。

  • ボイラー式: 室外にあるボイラーでお湯を沸かし、その蒸気(スチーム)霧(ミスト)を配管を通じて室内に噴射します。
  • 特徴: 温度は40〜60℃と低いですが、湿度が100%近いため、体感としては十分に熱く感じます。

サウナ装置は、「カラッと熱いのが好きか(ガス遠赤外線)」「湿度を含んだ熱さが好きか(電気・薪のロウリュ)」によって好みが分かれます。

サウナ設置における消火設備や関連法規は、主に「消防法」と、各自治体が定める「火災予防条例」によって厳格に定められています。

サウナは「火を使用する設備」または「高温になる設備」として扱われるため、一般の部屋とは異なる特別な基準が適用されます。

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設置が義務付けられる主な消防設備

建物の規模や用途によって異なりますが、サウナ室特有の基準として以下のものが挙げられます。

  • 自動火災報知設備(感知器):
    • サウナ室内には「定温式スポット型感知器」(熱感知器)の設置が必要です。
    • 通常の煙感知器は、ロウリュの蒸気などで誤作動するため使用されません。また、作動温度は一般的に150℃以下のものが指定されます。
  • 消火設備:
    • 床面積が20㎡を超えるサウナ室や、地下・無窓階に設置される場合は、スプリンクラーや屋内消火栓に準じた消火装置の設置が義務付けられます。
    • 小規模な場合は、近くに電気火災に対応した消火器を設置する必要があります。
  • 非常警報設備:
    • 火災を検知した際、スタッフがいる場所に異常を表示し、音響で知らせる装置の連動が必要です。

火災予防条例による構造基準

多くの自治体では、以下の基準を満たすよう定められています(東京都火災予防条例など)。

  • 離隔距離の確保: ヒーターから壁や天井までの距離を一定以上離すか、不燃材料での遮熱が必要です。
  • 内装の制限: 壁や天井の仕上げは不燃材料(石膏ボードや石材など)にする必要があります。木材を使用する場合も、その下地は不燃材でなければなりません。
  • 自動温度停止装置: 異常過熱時に自動で電源を遮断する装置(サーモスタット等)の設置が必須です。
  • 換気設備: 適切な給排気を行い、燃焼ガスがこもらない構造にする必要があります。

2024年前後の法改正(テント・バレルサウナ等)

近年のサウナブームを受け、消防庁は「簡易サウナ(テントサウナやバレルサウナ)」に関する規制を明確化・緩和する方針を出しています(2026年3月全面施行予定の省令改正など)。

  • 個人利用の緩和: 旅館業等ではない、個人の庭などに置く小型サウナについては、届出の簡略化や基準の明確化が進んでいます。
  • 薪ストーブの基準: 薪を熱源とする場合、周囲との距離や消火器の常備がより具体的に規定されました。

営業に必要な主な法律

サウナを営業用として設置する場合、以下の3つが「3点セット」の法律となります。

法律名主なチェック項目
消防法消火・報知設備、防炎物品の使用、防火管理者の選任。
公衆浴場法衛生基準、着替え室の構造、男女の区分など(保健所の管轄)。
建築基準法建物の用途変更、非常用照明、排煙設備、二方向避難の確保。

消防署への事前相談が必須です > 自治体(消防本部)によって、感知器の温度設定や消火設備の細かな基準が異なる場合があります。設置工事の前に必ず管轄の消防署へ図面を持参して相談してください。

導入予定のサウナのタイプ(家庭用、店舗用、テントサウナ等)に合わせて、より具体的な設置基準を確認しましょう。

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2025年12月15日に赤坂の個室サウナ「SAUNATIGER(サウナタイガー)」で発生した火災

2025年12月15日に赤坂の個室サウナ「SAUNATIGER(サウナタイガー)」で発生した火災は、極めて痛ましい事故となりました。現在も警察と消防による詳細な調査が続いていますが、報道や専門家の指摘から浮かび上がっている「考えられる原因」と「被害が拡大した要因」は以下の通りです。

出火原因として推測されているもの

現場の状況から、いくつかの可能性が指摘されています。

  • ドアノブの不具合:ドアノブが内外で外れた状態であったことが確認されてます。また通報ボタンの電源も切られていた可能性もあることから、サウナストーンにタオルも巻いて脱出を試みたのではないか、その際にタオルが燃えた可能性もあります。
  • サウナヒーターへの可燃物の接触: サウナ室内に「燃えたタオル」が残っていたことが判明しています。タオルやサウナハットなどがヒーターに接触、あるいは近接していたことで火がついた可能性が検討されています。
  • スマートフォン等の持ち込みと発火: 一部報道では、個室内へのスマホ持ち込みが可能であったとされています(真偽は不明です)。リチウムイオン電池は高温環境に弱く、異常過熱によって膨張・発火するリスクがあるため、火元となった可能性も注視されています。「利用上の禁止事項」として「サウナ室への可燃物(新聞・雑誌・タバコ等)や情報機器(PC、携帯電話、タブレット等)の持込」と明記。そのいっぽうで、公式サイトのトップページにはサウナ室の写真を添えて(スマホ持ち込みも可能です)と記載されていた
  • ヒーターの異常過熱(サーモスタットの故障): 制御システムの不具合により、設定温度を超えて過熱が続き、周囲の木材(ベンチや壁)が発火した可能性も考えられます。

被害が拡大・死亡に至った要因

なぜ逃げ遅れてしまったのか、以下の点が大きな「謎」であり、調査の焦点となっています。

  • ドアノブの脱落による閉じ込め: 現場検証の結果、サウナ室のドアノブが外れて床に落ちていたことが判明しました。何らかの理由(熱による破損や老朽化など)でドアノブが機能しなくなり、中から扉を開けられず「密室」に閉じ込められた可能性が非常に高いと見られています。
  • 非常ボタンの不作動: 室内には非常用ボタンがあり、「押された形跡」があったものの、適切に作動していなかった(電源が切れていた、あるいは故障していた)可能性が報じられています。
  • 熱中症・脱水症: 長時間サウナに留まると、体温調節機能が追いつかず重度の熱中症(熱射病)に陥ります。
  • 一酸化炭素中毒と煙: サウナ室という狭い密閉空間で木材やタオルが燃えたため、瞬時に有毒な一酸化炭素や煙が充満し、意識を失ったものと推測されています。

通常の建物では「排煙」設備があり、火災報知(熱感知器)と連動しています。

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施設の状況と今後

  • 被害者: 美容室を経営する30代の夫婦と報じられています。
  • 施設の運営: 運営会社は「言葉では尽くせぬほどの深い悲しみ」と謝罪のコメントを出し、当面の間営業を停止することを発表しました。

今回の事故を受け、個室サウナにおける「内側から容易に開けられる扉(プッシュ式など)の義務化」や「非常通報装置の点検」の重要性が改めて議論されています。

社会
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