
真相は如何に
2026年1月下旬から現在(2月1日)にかけて、中国の軍最高幹部が相次いで失脚し、それに伴う「クーデター未遂」の噂が世界的に大きな関心を集めています。
結論から言えば、「軍上層部での大規模な粛清(更迭)」は事実ですが、「武力によるクーデターが実際に起きたのか」については、SNS上の未確認情報と当局の公式発表が入り混じっている状態です。
現在の状況を整理します。
騒動の核心:張又侠(ちょう・ゆうきょう)氏の失脚
2026年1月24日、中国国防省は軍の制服組トップである張又侠(中央軍事委員会副主席)と、劉振立(連合参謀部参謀長)の2名を「重大な規律違反」の疑いで調査していると発表しました。
- 異例の事態: 張又侠氏は習近平国家主席の「盟友」と目されてきた人物であり、その彼が更迭されたことは、政権内部で極めて深刻な亀裂が生じていることを示唆しています。
- 軍の空白: これにより、本来7名で構成される軍最高意思決定機関(中央軍事委員会)は、事実上、習近平氏と張升民氏の2名のみが残るという、極めて異常な「司令部不在」の状態に陥っています。
「クーデター説」の背景
ネット上や一部の海外メディアでは、今回の粛清に伴い以下のような衝撃的な噂が飛び交っています。
- 北京での銃撃戦: 北京市内の「迎賓館(あるいは営西ホテル)」付近で、軍部隊と習近平氏の警護隊の間で小規模な戦闘があったという説。
- 秘密の漏洩: 張又侠氏が米国の諜報機関に核兵器に関する機密データを流出させた疑いがあるという報道(ウォール・ストリート・ジャーナルなどが言及)。
- 軍のロックダウン: 全国の軍基地で外出禁止令が出ており、スマートフォンの没収や「習近平思想」の徹底学習が強制されているという報告。
補足: これらの一部は、反体制派による期待を込めた憶測も含まれていますが、公式発表のタイミングや軍上層部の「消え方」が不自然であることから、単なる汚職摘発以上の「政治的衝突」があった可能性が高いと分析されています。
なぜ今、これほどの粛清が行われているのか?
専門家の間では、主に2つの見方が示されています。
- 絶対的統制の完了: 台湾有事(2027年問題)を前に、少しでも異論を唱える可能性のある「実戦派」の将軍たちを排除し、軍を習近平氏の完全なイエスマンだけで固めるため。
- 軍内部の反発: 2023年以降続くロケット軍や国防相(李尚福氏ら)の粛清に対し、軍長老や現役将校の間で溜まっていた不満が爆発寸前となり、それを察知した習近平氏が「先手」を打った(カウンター・クーデター)。
海外メディアの報道
海外メディアは、今回の中国軍幹部の失脚劇を「習近平政権発足以来、最大級の政治危機」として極めてセンセーショナルに報じています。
特に、単なる汚職の摘発を超えた「国家反逆」や「軍事衝突(クーデター未遂)」の可能性を示唆する報道が相次いでいます。主な海外誌・メディアの報道内容を整理します。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ):「核機密の漏洩説」
WSJは、複数の関係者や内部ブリーフィングの内容として、衝撃的な情報を報じています。
- 核兵器データの流出: 失脚した張又侠氏が、中国の核兵器プログラムに関する機密データを米国側に流出させた疑いがあるという内容です。
- 情報源の特定: 中国核工業集団(CNNC)の元幹部(谷俊氏など)からの証言や証拠が、張氏の摘発につながったと報じられています。
- 動機の謎: なぜ最高幹部である彼が情報を流したのかについては、「親族の汚職を隠蔽するため」や「政権への反逆」など、複数の憶測が飛び交っています。
「クーデター未遂」と軍のロックダウン報道(日本・台湾・英メディア)
一部の調査報道やSNSを通じた情報(Japan Forward, 台湾メディア, BBC等)では、軍内部での物理的な衝突について触れられています。
- 部隊の動員失敗: 張又侠氏や劉振立氏に近い部隊が北京近郊で動こうとしたが、事前に察知され、習近平氏直属の警護隊(中央警衛局)によって鎮圧されたという説。
- 軍の「武装解除」: 1月下旬以降、中国全土の部隊で**「携帯電話の没収」「実弾の回収」「外出禁止」**という異例の措置が取られていると報じられています。これは、軍内でのさらなる反乱や情報の拡散を防ぐための「準戒厳令」状態とみなされています。
「張又侠の密書」の拡散(SNS・独立系メディア)
X(旧Twitter)やFacebookなどで、張又侠氏が失脚直前に書いたとされる「密書」の内容が拡散されました。
- 内容: 「習近平氏は台湾侵攻という無謀な道に進もうとしており、軍のプロとしてそれを阻止しなければならない」といった、政策的な対立を強調するメッセージです。
- 真偽: 専門家の間では「習近平氏を追い詰めるためのプロパガンダ(情報戦)」である可能性も指摘されていますが、火のない所に煙は立たぬとして注視されています。
欧米主要紙(ガーディアン、NYT)の分析:権力構造の「空洞化」
イギリスのガーディアン紙やニューヨーク・タイムズなどは、事件そのものよりも「その後の統治」に焦点を当てています。
- 中央軍事委員会の崩壊: 7人いた軍の最高意思決定メンバーのうち、習近平氏と張升民氏(規律担当)の2人しか残っていないという異常事態を「軍の頭脳が消失した」と評しています。
- 台湾有事への影響: 指揮系統が混乱しているため、短期的には大規模な軍事行動は不可能である一方、追い詰められた習近平氏が内部の不満を逸らすために暴発するリスク(窮鼠猫を噛む状態)を懸念する声もあります。
報道のまとめと視点
| メディア | 主なトピック | 視点 |
| WSJ | 核機密の米国への流出 | 政治的な「裏切り」の側面を重視 |
| 英・豪メディア | 軍の混乱と不満 | 現場兵士や中堅幹部の士気低下を懸念 |
| 台湾・独立系 | クーデターと鎮圧 | 物理的な武力衝突の可能性を追求 |
| 米シンクタンク | 統治の不安定化 | 習近平氏の孤独な独裁の限界を指摘 |
海外メディアの論調を総合すると、「習近平主席が軍を完全にコントロールできなくなっている、あるいは極度の人間不信に陥っている」という見方で一致しています。
| 項目 | 状況 |
| 事実(確定) | 張又侠、劉振立ら軍最高幹部が「失脚・調査中」であること。 |
| 噂(未確認) | 物理的な戦闘(銃撃戦)や組織的な武力クーデターの実行。 |
| 影響 | 中国軍の指揮系統が混乱。短期的には大規模な軍事行動(台湾侵攻など)の能力が低下しているとの見方。 |
現時点では「政変が進行中」であることは間違いありませんが、それが「未遂」に終わったのか、あるいはまだ水面下で続いているのかは極めて不透明です。
この混乱が中国国内の経済(株価や不動産市場)に与える影響や、日本の安全保障の強化を加速させる必要性を見極める必要がありそうです。



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