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広告収入激減のテレビ局の末路

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テレビ局 本業収益が50%を割り込んだら

最近の傾向としてテレビ局の「視聴率低下」「広告離れ」が顕著な事です。そこで本業の収支が悪化した場合の問題点を考えます。

放送法(および関連する総務省令)において、本業(放送事業)の比率が重要になるのは、主に「認定放送持株会社(ホールディングス)」の維持要件に関連する部分です。「50%」という数字は、放送法第159条に基づく「資産割合規制」において非常に重要な意味を持ちます。

放送法 第159条(認定放送持株会社の認定基準)

キー局各社が採用している「持株会社制」を維持するためには、総務大臣の「認定」が必要です。この認定を受けるための条件が第159条に定められています。

  • 「放送が主軸」であることの証明(資産割合制度): 放送法施行規則(第183条、184条)では、持株会社の総資産のうち、「子会社である放送局の株式価値」などが5割(50%)を超えていなければならないというルールがあります。
  • なぜこの規定があるか: もし、放送と全く関係ない巨大企業(例:不動産会社や商社)が、小さな放送局を一つ買収して「放送持株会社」を名乗れてしまうと、放送法上の「外資規制」などを悪用した買収防衛策に使われてしまう恐れがあるためです。「実態として放送がメインのグループである」ことを担保するために5割という基準があります。

放送法 第93条(外資規制と欠格事由)

「本業が50%を割り込んだら」という議論でセットになるのが外資規制です。

  • 条文の要旨: 放送事業者の議決権のうち、「外国人等が占める割合を20%未満」に制限しなければなりません。
  • 絡みのポイント: 収益の5割以上を不動産やネット事業で稼いでいても、グループに「放送免許」を持つ会社が含まれ、その親会社(持株会社)である限り、この20%制限が適用されます。事業実態が非放送メディア化しても、法律上の縛り(および外資からの保護)は放送法のまま残るという「ねじれ」が生じる根拠条文です。

放送法 第1条(目的)と第4条(番組準則)

放送法の根本的な精神との絡みです。

  • 第1条(公共の福祉): 放送が「公共の福祉」に適合することを求めています。
  • 第4条(番組編集の準則): 政治的中立、公序良俗、報道の真実性などを定めています。
  • 絡みのポイント: 本業収益が減り、放送事業が「赤字部門」になったとしても、この第4条を守るためのコスト(報道局の維持など)を削減することは法的に許されません。収益が50%を切るような状況では、「稼げないが法定義務(第4条)を果たすためのコストを、他事業の利益でどう賄うか」という経営上の重い課題が、この条文によって規定されることになります。

マスメディア集中排除原則の緩和(第159条の特例)

放送法には、本来「特定の者が多くのメディアを支配してはいけない」というルール(集中排除原則)があります。

  • 条文のメリット: 認定放送持株会社であれば、例外的に複数の地域や複数のメディア(TVとラジオなど)を一つのグループで支配することが認められています。
  • もし50%要件を維持できなくなったら: もし放送関連資産が50%を割り込み、認定放送持株会社の取り消しを受けるような事態になれば、この「集中排除原則」の特例が受けられなくなり、グループ解体(子会社の売却など)を迫られる法的なリスクが生じます。

日本のテレビ局(特に在京キー局)にとって、本業である「放送事業」の収入が全体の50%を割り込むということは、単なる数字の変化以上の「構造的な転換点」を意味します。

社会的信用の低下

現在、多くの局がこの「50%の壁」に直面、あるいはすでに突破しており、もはや「テレビ番組を作って流すだけの会社」ではなくなりつつあります。

もしホールディングスにおいて放送事業収益が半分を切った場合、どのようなことが起きるのを整理します。

免許事業としての「アイデンティティ危機」

テレビ局は国から電波を割り当てられている「免許事業」です。

  • 公共性の維持が重荷に: 放送事業が稼げなくなっても、災害放送や中立な報道など、免許を維持するためのコスト(公共的責任)は変わりません。
  • 経営資源の配分: 収益の50%以上を生む非放送部門に優秀な人材や予算が割かれるようになり、番組制作の予算削減がさらに加速する可能性があります。

メディアとしての影響力の変化

広告主(スポンサー)からの見られ方が変わります。

  • CM枠の価値低下: 「視聴率=広告収入」というモデルの限界を認めることになります。
  • 多角化によるリスク分散: 景気に左右されやすい広告収入に依存しないため、会社としての倒産リスクはむしろ低くなります。

主要各社の現状(持ち株会社化による多角化)

現在、主要なキー局は以下のような「放送以外の稼ぎ方」を強化しています。

放送局放送以外の主な収益源
日本テレビ不動産、フィットネスクラブ(ティップネス)、アニメ制作
テレビ朝日不動産、ネット販売、インターネットTV(ABEMA)
TBS不動産(赤坂サカス周辺)、スタイリングライフHD
テレビ東京アニメ配信・権利ビジネス(ナルト、ポケモン等)
フジテレビ不動産、観光(海洋レジャー)、通販(ディノス)

まとめ:50%を割り込んだらどうなる?

結論として、「会社は潰れないが、テレビ局としての色は薄まる」「放送法違反になる」といえます。

むしろ、50%を割り込むほど多角化に成功している局ほど、ビジネスとしては「優等生」と評価されるのが現在のマーケットの皮肉な現実でもあります。

結論

放送法との絡みで言えば、「50%」という数字は、その会社が「放送局グループ」という特別な法的地位(外資規制による保護や、複数局の所有)を維持し続けるための絶対的なデッドライン(資産基準)として機能しています。

そのため、各局は「収益」がどうあれ、「資産価値(子会社株の評価など)」としては放送事業が5割を下回らないよう、法務・財務的に極めて慎重に管理しています。しかしもはやテレビ放送は時代の主役ではありません。「分社化」に待ったなしの状況に置かれていると言えるでしょう。

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