
パンダどころの騒ぎではない最近の中国の動向
日本のマスコミは「おめでたい」事に、どうでもいい「パンダ」が云々と報道している間、中国には奇な臭い動きが見られました。
大規模な軍の粛清
2026年1月、中国人民解放軍(PLA)の最高意思決定機関である中央軍事委員会(CMC)を舞台に、建国以来最大級とも言われる大規模な粛清が報じられました。
この事態は、習近平国家主席が軍に対する「絶対的忠誠」を完遂させるための最終段階に入ったことを示唆しており、国際社会に大きな衝撃を与えています。
1. 粛清の主要人物
今回の粛清で最も衝撃的だったのは、習氏の長年の盟友と目されていたトップ2名の失脚です。
- 張又侠(ちょう・ゆうきょう / Zhang Youxia)
- 役職: 中央軍事委員会副主席(制服組ナンバー1)、政治局員。
- 背景: 習氏とは「太子党(革命幹部の子弟)」として親交が深く、父親同士も戦友という極めて近い関係でしたが、1月24日に「重大な規律違反」で調査中であると報じられました。
- 劉振立(りゅう・しんりつ / Liu Zhenli)
- 役職: 中央軍事委員会委員、連合参謀部参謀長。
- 背景: 実戦経験豊富な武闘派として知られていましたが、張氏と同時に失脚しました。
2. 異例の容疑:「核機密の漏洩」
これまでの粛清は「汚職」が主な名目でしたが、今回の張又侠氏については、より深刻な疑惑が報じられています。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)等の報道:
張氏は、中国の核兵器に関する核心的な技術データを米国側に漏洩させた疑いが持たれています。また、軍内部の昇進を巡る多額の収賄も指摘されており、軍需産業やロケット軍を巻き込んだ過去の汚職事件との関連も疑われています。
3. 崩壊した中央軍事委員会の構成
2022年の第20回党大会で選出された7名のCMCメンバーのうち、現在も職務に留まっているのはわずか2名のみという異常事態です。
| 氏名 | 役職 | 状態(2026年1月時点) |
| 習近平 | 主席 | 在任 |
| 張又侠 | 副主席 | 2026年1月 粛清(調査中) |
| 何衛東 | 副主席 | 2025年10月 失脚 |
| 李尚福 | 委員(前国防相) | 2024年6月 党除名 |
| 劉振立 | 委員(参謀長) | 2026年1月 粛清(調査中) |
| 苗華 | 委員 | 2025年後半に失脚報道 |
| 張昇民 | 委員(規律検査委) | 在任(唯一の制服組生存者) |
今回の事案が意味するものとは
これにより、軍の運用を指揮する実務経験者がトップ層からほぼ一掃され、軍事指揮権は習氏一人に完全に集中する形となりました。
2026年1月の中国軍トップ、張又侠氏と劉振立氏の粛清は、単なる「汚職対策」の枠を超え、習近平体制が「軍の完全な私兵化」と「2027年の目標達成」に向けた最終段階に入ったことを示唆しています。
専門家や各国の分析から浮かび上がる、主な4つの意図を整理します。
1. 「紅二代」の排除と権力の完全掌握
張又侠氏は、習主席と同じ「紅二代(革命幹部の子弟)」であり、数少ない「習氏に直言できる友人」とされてきました。
- 意図: 習主席にとって、自分と対等に近い背景を持つ人物は、最後には潜在的な脅威となり得ます。彼を排除することで、軍内に「主席に並び立つ権威」を一切許さないという姿勢を鮮明にしました。
- 狙い: 「軍委主席責任制(すべての決定権は習氏にある)」を名実ともに完成させ、軍を完全に「習家軍(習氏個人の軍)」に作り変えることです。
2. 「台湾侵攻(2027年目標)」への異論封じ
米国情報当局は、習氏が軍に対し「2027年までに台湾侵攻を成功させる準備を整えよ」と命じていると分析しています。
- 意図: 実戦経験が豊富な張又侠氏や劉振立氏らが、現在のPLAの練度や装備(ロケット軍の不備など)を理由に、2027年のタイムラインに慎重な意見を述べていた可能性が指摘されています。
- 狙い: 「慎重派」の実力者を排除し、習氏の命令を盲目的に遂行する「Yesマン」のみを上層部に配置することで、作戦実行のハードルを政治的に取り払う狙いがあります。
3. 「核機密漏洩」を口実にした軍需利権の解体
ウォール・ストリート・ジャーナル紙などが報じた「核兵器データの漏洩疑惑」は、極めて重大な容疑です。
- 意図: ロケット軍や装備発展部(旧・総装備部)に根深く残る「張又侠派」の利権ネットワークを完全に破壊すること。
- 狙い: 単なる横領だけでなく「国家反逆(機密漏洩)」という罪状をちらつかせることで、軍内の旧勢力に「誰一人として逃げ場はない」という強烈な恐怖を植え付ける心理戦でもあります。
4. 2027年「党大会」での4期目続投への布石
2027年後半には、中国共産党第21回全国代表大会が控えています。
- 意図: 4期目続投という前人未到の領域に踏み込む際、最大の不安要素は「銃(軍)」の反乱です。
- 狙い: 大会前の1年半という時期に、軍中枢を「主席への絶対忠誠を誓う若手・忠誠派」に入れ替えることで、政権基盤を盤石にする狙いがあります。
忘れていませんか?中国は民主国家ではありません

まとめ:この粛清がもたらす変化
今回の粛清により、中国軍は「軍事的な合理性」よりも「政治的な忠誠」を優先する組織へとさらに傾斜しました。
今後の焦点:
- プラス面: 指揮系統が習氏一人に集中し、命令の伝達速度が上がる。
- マイナス面: 現場の不満が蓄積し、作戦遂行能力(ソフト面)に深刻な混乱が生じる。
この大規模な「滑走路の掃除」が終わった後、習氏が誰を後任の副主席に据えるかによって、今後の台湾海峡の緊張感はさらに一段階変わるでしょう。
この粛清が意味すること
- 「軍委主席責任制」の徹底: 中国メディアは、今回の措置を「軍委主席責任制(すべての権限は主席にある)」を損なう動きに対する断固たる処置だと強調しています。
- 台湾情勢への影響: 専門家の間では、実戦経験のある将官が排除されたことで、短期的な軍の即応能力が低下するとの見方がある一方、習氏の命令に異を唱える者がいなくなり、台湾侵攻のリスクがむしろ高まったとの懸念も出ています。
- 内部の疑心暗鬼: 最も信頼されていたはずの張又侠氏までが排除されたことで、軍内部では「次は自分か」という恐怖政治が極限に達しているとみられます。
まさに「冬の嵐」と呼ぶにふさわしい激震ですが、この体制で2027年の「解放軍創設100周年」をどう迎えるのかが今後の焦点です。


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