伊東市長選 杉本新市長とは

伊東市長選　杉本新市長とは

日本

2025.12.16

2025年12月14日伊東市長選挙で当選、杉本憲也氏

杉本憲也氏は、伊東市の新市長に就任することが確定しました。

この選挙は、前市長の学歴詐称問題による失職に伴い行われたもので、過去最多の9人が立候補する激戦となりました。

メガソーラー計画は、この選挙の大きな争点の一つでした。

伊東市で大きな問題となっているメガソーラー計画は、正式には「伊豆高原メガソーラー計画」と呼ばれています。

これは、伊東市八幡野区の約105ヘクタール（東京ドーム約22個分）もの広大な森林を開発し、大規模な太陽光パネルを敷設しようとする計画であり、長年にわたり市民の反対運動と行政・事業者との法的な争いが続いています。

項目	詳細
計画地	伊東市八幡野字枝堀など (約105haの森林)
造成面積	約43ha (約44%を伐採・造成)
パネル枚数	約12万枚 (発電量約40.7MW)
事業者名	伊豆メガソーラーパーク合同会社 (代表社員：ハンファエナジージャパン株式会社)
問題点	景観悪化、土砂災害リスク、環境（海・漁業）への影響

計画は2018年に着工しましたが、現在は事実上の工事停止状態にあります。
停止の主な理由は、伊東市が申請された八幡野川への河川占用許可を不許可とする行政処分を再度行ったためです。
- この河川占用不許可処分を巡っては、事業者との間で裁判が続いており、行政側が一度敗訴したものの、手続きを改めて再度不許可処分を下し、現在も係争中です。
市は、事業者が開発に必要なすべての許可を取得している状況ではないため、工事の進捗は見られないとしています。

計画が複雑化しているのは、市の条例（景観等との調和に関する条例）で反対の姿勢が示されている一方で、国や県の法令（宅地造成等規制法など）に基づく許可手続きが進められてきたためです。

元市長の対応: 過去の伊東市長が事業者と秘密裏に確約書を交わした後、宅造許可の変更申請を認めたことなども問題視され、市長選挙の大きな争点となりました。
法の改正: 2025年5月に「宅地造成等規制法」が「宅地造成及び特定盛土等規制法（通称：盛土規制法）」に変わり、一部の権限が伊東市から静岡県に戻るなど、行政的な対応の主体も変化しています。

伊東市のメガソーラー計画に関して、事業者と「確約書」を交わした元市長は、小野達也（おのたつや）氏です。

小野達也氏は、2017年5月29日から2025年5月28日まで伊東市長を務めていました（2期）。

経緯: 係争中であったメガソーラー事業者（伊豆メガソーラーパーク合同会社）に対し、小野市長が独断で、市が裁判に負けた場合の市の対応（将来の許可を認める内容など）を記した確約書に署名し、提出しました。
時期: 確約書に署名したのは、市が河川占用不許可処分を取り消すよう求められた裁判の一審で市側が敗訴した後の控訴審係争中でした（2021年2月頃）。
問題点:
- 独断専行: 弁護士や副市長、関係職員と協議をせず、単独で署名したこと。
- 市民への背信: 事業者を相手に係争中であるにもかかわらず、市長が相手方と裏で密約を交わしたこと。
- 市政の混乱: この確約書がその後の行政の対応や、市長選挙の大きな争点の一つとなりました。

この問題は、小野氏が市長等の政治倫理に関する条例に違反したとする結論が、伊東市政治倫理審査会によって出されるなど、大きな批判を浴びました。

杉本憲也新市長は「メガソーラー断固反対」を公約の柱として当選しました。今後は、この複雑な状況に対して以下の様な具体的な行動を起こすことが期待されます。

杉本新市長には、公約通り「止まってしまった市政」を進めること、そして市民の関心が高いメガソーラー問題への対応が今後、重要な課題となります。

メガソーラー計画は、すでに工事が進み、行政と事業者間で訴訟が起きているなど、複雑な状況にあります。新市長が公約を実現するために取り得る主な対応としては、以下のような点が焦点となります。

行政処分・許可の再検討:
- 宅地造成等規制法（宅造法）などに基づく、これまでの事業許可や行政指導を改めて精査し、取り消しや工事停止命令などの行政処分を検討する可能性があります。
条例の適用と強化:
- 伊東市では、メガソーラーに反対する立場を示す条例が存在します。この条例の実効性を高めるための措置や、新たな規制の導入を検討する可能性があります。
事業者との交渉・訴訟対応:
- 事業者に向けた工事停止や計画撤回の働きかけを強化し、必要であれば市として新たな訴訟に踏み切るか、現在係争中の訴訟に市長として強い姿勢で臨むことになります。