奥穂高岳研究 〜 白出沢ルートの魅力

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奥穂高岳研究 〜 白出沢ルートの魅力

北アルプスの盟主・穂高連峰

2023年夏山の状況

久し振りに山のお話。

魅力的な山が多い北アルプスにあっても

その存在感を発揮しているのが穂高連峰です。

主峰といえる奥穂高(3,190m)を筆頭に

北穂高岳(3,106m)、前穂高岳(3,090m)、明神岳(2,931m)、

涸沢岳(3,110m)、間ノ岳(2,909m)、天狗岳、蒲田富士

そして一番身近な「穂高」西穂高岳(2,909m)まで

オールスター軍団を形成してます。

その魅力は

力強い男らしさを持った荒々しい山

登山者の力量を試さんとばかり

立ち塞がる大きな存在という所でしょうか。

穂高と言う山

穂高は登山者にとっては魅力的な山です。

これだけ人気の山故に多くの登山者が目指し

多くの登山者が命を落とした山です。

登山雑誌では多くの特集記事が組まれているが、

とっても危うい山でもあることを知っておいた方が良いでしょう。

とにかく穂高は落石との闘い

七大陸最高峰を制覇した強者でも、冬の落石で命を落とし

私の友人も浮石がもとで亡くなってる。

とにかく、四季問わず滑落シーンもよく見る山域です。

また、昨今の長野・岐阜県境を震源とした地震で、

2021年9月には比較的大きな地震も発生していて

槍ヶ岳では震度5程度の規模の震度であったと言われてます。

(北穂高岳で地震の影響と見られる死亡事故も発生)

2020年にも焼岳周辺で火山性微動が1日100回程度が観測されていて、

御嶽山の噴火でもわかるように、長野・岐阜県境付近は

火山帯であることは認識しておく事が重要です。

白出沢の魅力

呼び方としては「しらだしさわ」と言います。

この白出沢と言うのは,岐阜県高山市奥飛騨温泉郷

新穂高温泉から右俣林道を歩く事2時間、

本流「右俣谷」と合流する支流になります。

合流点「白出沢出合」から分岐する登山道を

「自出沢登山道」と言います。

一般登山道の中では結構スリリング。

クラシカルな登山ルートです。

現状はどうなっているのか(2022年)

ここ数年は火山性微動や地震、大雨での登山道崩落

が続き、不通となっていたこのルート。

一部区間が崩落しましたが、

ハシゴやクサリの設置などで通行可能だそうです。

(2022年7月現在)

詳しくはこちらをどうぞ

登山道の現状| 岐阜県北アルプス山岳遭難対策協議会

岐阜県山岳遭難協議会 HP

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白出沢登山道概略図
岩切道とは

穂高へのルートで

私が好きなのは白出沢の岩切道です。

上高地から登った場合は、非常に華やかで

初心者にもやさしい顔を見せているが、

飛騨のルートは山本来の威厳を見せつけてくる。

岩壁を削って作られた独特な登山道。

頭上を見上げればオーバーハングした岩壁が、

今にも崩れないかと何度通っても緊張する。

今田重太郎が築き上げたこの道は

奥穂岳山荘の物資を運び込むルート。

昔は白出小屋があり途中には荷継小屋もありました。

ちなみに岩切道への沢の横断地点には

重太郎橋という橋がかけられてます

(架設の橋、シーズンのみ)

この橋が架けられるまでは残雪の上を横断になりますが、

スノーブリッジができていて

時期が悪いと雪解けが進み崩落しそうな

時もありますので十分注意してください。

あと、熊は本当によく見かける場所です。

ある意味自然本来の姿らしいルートと言えるでしょう。

新穂高から右俣林道を進むこと約2時間

白出小屋跡に着きます 

重太郎橋

聞こえは良いが、単に角材の橋。

雪解けが終わるとかけられる。

増水時は注意が必要だが、渡り切った先が「岩切道」

岩の壁面を歩く訳ですが、よくこんな所に道を付けたものです。

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ちなみに残雪期の様子はこの写真。

下は大きな空洞になってますので、

気を付けなければいけません。

6月頃の白出沢

荷継小屋跡を越えると広い斜面が、

白出のコルまで続く。

稜線直下の登りでは落石に注意が必要である。

雪上は音も無く落石が近づいてくるので、

発見が遅れ巻き込まれることが多い。

白出のコル

コルとは稜線の隆起の間の平地であり、

峠、乗越(のっこし)とほぼ同じ意味である。

穂高岳山荘はこのコルに建っている山小屋です。

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白出のコルに建つ奥穂高岳山荘

コースタイム

標準コースタイムは

新穂高温泉〜白出小屋跡 2時間

白出小屋跡〜穂高岳山荘 7時間

となってます。

以下はある日の自分のコースタイムです。

テント泊装備ですので参考になるか分かりませんが、

絶好調時でこんな感じです。

1日目

新穂高温泉駐車場4:49→穂高平小屋5:41→白出小屋跡6:22→重太郎橋7:20→

荷継ぎ小屋跡8:20→穂高岳山荘11:05(テント泊)

2日目

穂高岳山荘5:53発

→奥穂高岳6:35着→穂高岳山荘8:15着 

穂高岳山荘9:12発→荷継ぎ小屋跡11:03

→白出小屋跡12:48→穂高平小屋13:30→新穂高温泉駐車場14:25

基本を守ろう

当たり前のことですが、登山マナーを守り楽しい登山にしましょう。

北アルプスの山ではヘルメットは必携です。

また、岩稜ではストックは使いませんのでザックにしっかり固定しておきます。

歩き方については「落石を起こさない」ことに留意してください。

平地では初夏と言いながらも山ではまだ残雪が残ります。

7月下旬までは稜線直下にも残雪がある場合がありますので、

対策をお願いします。

残雪がある場合は「キックステップ」で。

緩やかな傾斜角度や残雪期の雪面歩きは

雪面を蹴り込んでステップを作って登ります。

これを「キックステップ」と言います。

この際の注意点は靴底(ソール)が平面に接面する事。

これを「フラットフィッティング」と言います。

この際に腰が引けてしまうと重心が後ろ側にかかるため

余計に滑りやすくなります。

傾斜がキツイと恐怖感が出てへっぴり腰になるので注意です。

これは雪面だけではなく無雪期の場合でも、地面に対してフラットに置くことで

ソールの性能をフルに出せスリップしにくくなります。

アイゼンが必要かどうか、登山道の状況確認は

小屋への確認をお願いします。

穂高岳山荘(登山道情報はこちらから)

登山者の熟達度もありますので不安があるようでしたら

軽アイゼンなどの携帯をお勧めします。

飛騨ルートは楽しい

飛騨のルートは途中の小屋が無いので

どちらかと言うと健脚者向けと言われてます。

ただ、この自然を感じながら自分の世界に浸れるこのルートは

好きでした。

あと、最短で登れるので「日帰り奥穂高岳」「日帰り槍ヶ岳」

なども出来ます(積極的にはお勧めしません)

また登ってみたいと思います。

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明神岳側から前穂高方向を望む

穂高岳山荘(登山道情報はこちらから)

穂高縦走について

穂高縦走についてはこちらの記事をご覧ください


山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地 2023 (山と高原地図 38)

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